すっかり冬ですね。
とても寒いです。
うちはフローリングのため、エアコンやらファンヒーターを使用中です。
妻の実家なんかはこたつと薪ストーブの併用です。
そのこたつを見ると思い出すことがありまして。
生きているということは、その分恥をかくということで。
若気のItalyというか、煩悩まっさかりというか。
思い出すと胸がキュッとしめつけられる、読むと自分の恥ずかしい過去を思い出してしまうかもしれない、そんな話。
メンズのこたつ靴下が買いたくなっちゃうかも。
価格:1980円 |
1.高3の冬〜長男のお部屋は凍てつくお部屋〜
忘れもしないあれは受験勉強もいよいよ本格化してきた高3の冬のこと。
風水的に長男の部屋は北向きの窓がある部屋がいいという両親の信念の元、北向きの窓しかない部屋を使わされていた私は悩みの中にあった。
めちゃくちゃ寒い。
とにかく寒い。
なんせ日が当たらないから、室温が上がらない。
ペットボトルに入れたお水が、一晩たつとうっすらと凍ってしまうほどの寒さ。
当時、エアコンはみんなが使うリビングに一台あるのみ。
部屋にはファンヒーターはあったものの、なんかにおいがきつくて、空気が悪くなっていそうで、使うたびに頭が痛くなるからなるべくなら使いたくない。
しかしながらこのままでは勉強に身が入らない…。
手がかじかんでやる気も出ない…。
チョビ反抗期だった私は、親がいるリビングで勉強するなんてとても考えられなかった。
じゃーどーすんの!?
こたつにしよう、そうしよう!
頭寒足熱って健康にいいって言うし、集中力も高まるし。
勉強もはかどっちゃったら、成績も上がっちゃうかも。
なんつって、ごちゃごちゃぬかして、◯インズホームに行って小さなこたつをゲット。
部屋はせまくなった気がしたけど、まぁいい。
この寒さに比べたらささいな問題でしょう。
早速、組み立てに取りかかったのだ。
2.天啓〜ひらめきは突然に〜
組み立てといっても特に複雑なことなどなく、格子状のヒーターが付いている本体みたいなのに脚をくっつけて、そこにふとんをかぶせて、さらにその上に天板を…
あら…?!
!!!!
とんでもない発見とひらめきに思わず天板を持つ手が止まった。
安物のうっすい布団を格子状の本体にかぶせたおかげで、へこみというか、真ん中のヒーターがあるところ以外がくぼんでいるではないか。
「このくぼみは使える!使えるぞ!」
すぐさまベッドの下から、当時大切にしていた「お宝」をひっぱりだす。
「お宝」そう、ませた友達のかっちゃん(仮名)から譲り受けた大切な本。
当時、自分たちで買うことは許されなかった大人の本。
誰にも見つからないように隠し持っていたお宝たち。
ネットさえあれば、動画が見られるこの時代。
煩悩の具体を所持するということの罪悪感とドキドキ感、今の子たちはわからないんだろうなぁ。
ベッドの下というオーソドックスな隠し場所に不安を覚え始めていた思春期の私には魅力的すぎるくぼみ。
大胆にしてトリッキー。
アクセスも良好そうときたもんだ。
さっそくそれぞれのくぼみにお宝たちを丁寧に設置していく。
思った通りのジャストフィット。
いやいやこれがシンデレラフィット。
こたつをデコレート。
圧巻のディスプレイ。
天板を置けば全てはコンプリート。
完璧。
こたつのスイッチをいれてみる。
すぐにあたたかくなる。
異物をはさんでいる天板に違和感は、ない。
天板を少しめくると、「お宝」もこちらを覗いている。
完璧だ。
いや、しかし、何か物足りない。
ねこ?
いやうちは先祖代々由緒正しき犬派の家系。
みかんだ。
そうだ。
そしてどうせならピラミッドみたいに積んでみよう。
こたつにみかんに。
勉強をするという当初の目的をすっかり忘れ、満足感に満たされていた。
ほんのひとときだけ。
3.嗅覚〜残された傷跡、消えた記憶〜
ドタドタドタ。
階段を駆け上がる音が聞こえてきた。
当時、家に唯一のこたつの完成を待っていた、父、母、弟(4歳)が私の部屋にやってきた。
座布団持参だ。
こたつに足を入れ、当然のようにみかんに手を伸ばす。
小さくなったピラミッドはまた大きくしよう。
そんなことを考えていた。
母の様子がおかしい。
落ち着きがない。
天板を気にしている。
何を思ったか、天板を心臓マッサージするように力強く押し始めた!
私の心臓が急スピードで高鳴る!
音が外に聞こえそうだ!
もうやめて!
願いもむなしく、母は天板を持ち上げた。
パカッ…!
そこにはお行儀よく並べられた、マイトレジャーたちがいた。
もちろん18禁の世界だ。
父は弟を連れて出ていった。
弟よ、座布団は後で兄が戻しておくから、早く父さんについておいき。
母は何やら嬉しそうだ。
ニヤニヤしている。
これは何?笑
いや、これはその…。
家族全員の前でお宝本の存在が暴かれたという強烈な羞恥心。
そこから先、母と二人で何を話したのか私の記憶には、ない。
4.エピローグ
お宝は取り上げられるということもなく、大学進学で実家を出るときに処分するまで部屋にあった。
弟は特に何か心に傷を負った様子もなく、ちょっと安心した。
父は父で、ちょっと気にしていたようだが、もともと無口なたちなので内心のことはよくわからなかった。
かえって、母とは何でもオープンに話せるようになった。
いいことか悪いことかはわからないが、あれ以上恥ずかしいことも、隠したいことも、もう、ない。
そんなこんなで、冬になってこたつを見ると思い出す、恥ずかしい話でした。
あれから私はこたつを買っていません。笑
しかし、末端冷え性が辛くなってきたので、「まるでこたつソックス」は買ってみようかと検討中です。
それではまた。
価格:1980円 |
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